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人工乾燥材の良いトコ悪いトコ

木材は大きく分けて2つの乾燥方法があります。
1つがKD材と言われる人工乾燥材。
もう一つがAD材と言われる天然乾燥材。
ちなみに、乾燥していない生のままはグリーン材と言われます。

ローコスト住宅が出始めたころは、グリーン材が構造材にも多く使われて、カビや軋み、床の垂れ下がりなど「欠陥住宅」と言われるものが、ありましたね。
そういう家のリフォームも何度か行いましたが、壁や天井を壊す度に驚きと言うか飽きれかえるものも数多くありました。残念です。

さて、人工乾燥材ですが今や主流です。
構造材は、ほとんどがソレですし、内装材においても人工乾燥材が主流です。

でも昔は天然乾燥材ばかりでした。
人工乾燥材が主流になった良いトコとしては、供給の速さと、乾燥の程度を地域関係なくそれなりに合わせれる事でしょう。

悪いトコと言えば、均一な為に地域差に対応しきれない事でしょう。
人工乾燥材はKD材と言われて、JAS(日本農林規格)に規定されています。
その中で含水率(木材中の水分量)規格が25%から15%以下までで定められています。

ここで問題なのが、内装に使う場合。
実は家の中というのは、屋外よりも空気が乾燥し易い場所です。
その為、含水率15%のKD材であっても更に乾燥が進みます。約10~12%くらいまで減ります。
そうなるとどうなるか?
仮に床に使用していたとすると、隙間が出来たり、ネジレが出たりします。
特に板目材では、よく目立ちます。
無垢の床材を使った時に、反りやネジレ、隙間は「自然のモノだから仕方ないですよ」という話は、この収縮を想定して話されています。

でも昔は、こういう隙間や反りは少なかった。
大工さんが木に対して、乾燥期間を適切に取っていたから、ちょうどその地域に合った乾燥になってたんですね。

モミの場合は、その昔ながらの乾燥を必ず行うようにしています。

天然1
モミの製材所で天然乾燥している様子。


現場乾燥
現地(香川県三豊市)で再度、乾燥している様子。
ここに届いたときは含水率10%ほどまで乾燥していますが、
そこから建設地に合わせる作業をしています。

大体、工事現場で10日ほど。立て掛けてそこの空気に馴染ませるのです。
この作業をすることによって、夏場の湿気が多い時期にも水分をしっかり吸収してくれますし、冬場の乾燥が著しい時は、水分を放出してくれます。
この馴染ませた後の含水率が平衝含水率と言います。

正確には屋内平衝含水率かもしれません。
内装材である為に、屋内の環境に合わせるのが目的なので^^

そういった訳で、天然乾燥材だから隙間が出来るとか、ねじれやすいというのは全く違うんですね。乾燥を適切に行うかどうか、その木の特性を知っているかどうか、それだけで大きく変わります。

今の家づくりは省力化に進んでいる為に、時代に逆行しているような感覚もありますが、
やはり「省いて良いもの」と「省いてはいけないもの」もあると思うんです。
住む人が、どこにこだわるか?
そして、それに正確に応えることが出来るかどうか、これが建築会社の目指すべき姿勢だと考えています。

なんか今日ブログが、硬すぎたかもしれません。
今日も1日、皆さんがハッピーでありますように^^v

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