こんにちは、河野です。
家づくりの基本方針を表す言葉に、古くから伝わる「夏を旨とすべし」という考え方があります。
鎌倉時代、兼好法師の『徒然草』に出てくる有名な一節で、当時は暑さ対策こそが住まいの最重要課題だったんですね。
でも、その後の日本は「冬を旨とすべし」へと移っていきました。断熱性能や気密性能を高め、寒さをしのぐことに重点を置いた住まいづくりが主流になったんです。
そして今――地球温暖化の影響で、再び「夏を旨とすべし」に戻る時代を迎えています。
📊 ディグリデーが示す温暖化の影響
建築の世界では「ディグリデー」という指標で冷暖房の必要度を計算します。
外気温と室温の差を積算した値で、簡単に言うと「どれくらい暖房や冷房を使うか」の目安です。
これを見ると…
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昔は暖房ディグリデーが圧倒的に大きかった
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近年は暖房が減り、冷房が増えてきた
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将来的には東京では冷房と暖房がほぼ同じ規模になる予測
つまり「冬中心」から「夏中心」へとバランスが変わってきているのがわかります。
🏠 「旨とすべし」の歴史の移り変わり
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昔の家(徒然草の時代)
庇や深い軒で日射を遮り、風通しを重視。まさに夏を旨とすべし。 -
数年前まで(断熱重視の時代)
高気密高断熱で冬を快適にする設計が主流。ZEHなどの基準も冬型が中心でした。 -
今(温暖化時代)
冬は以前より暖かくなり、断熱性能も一定レベル以上になり、次は夏の猛暑対策が不可欠に。再び「夏を旨とすべし」へ回帰。
歴史を振り返ると「夏→冬→夏」と移り変わっているのがよくわかりますね。
🌿 これからの家に必要な工夫
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日射遮蔽:庇やアウターシェード、植栽で直射日光を防ぐ
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通風:窓の配置や間取りで南北の風を通す
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断熱・蓄熱:冬の断熱だけでなく、夏の熱を遅らせる蓄熱性能も重要
特に木繊維断熱材シュタイコのような素材は、夏の暑さ対策にも力を発揮します。
🌲 ピースホームの工夫
僕たちピースホームでは、
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もみの木や粘土壁で湿度を調整しながら空気をきれいに保つ
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シュタイコ断熱材を取り入れて夏の快適性を高める
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南北通風や庇を考えた設計を意識する
といった工夫を積み重ねています。
「空気の質から設計する家づくり」が、これからの時代に大切だと思っています。
🌤 香川の気候を考えた家づくり
香川は日照時間が長く、瀬戸内特有の湿気や沿岸部の塩害にも注意が必要です。
だからこそ、庇を深くして日射を遮ったり、通風を活かしたりと、地域に合わせた工夫が大切になります。
「香川ならではの家づくり」を考えると、これから深い軒を持つ家や、通風をうまく取り入れたプランがもっと増えていくと良いなと感じています。
✨ まとめ
温暖化が進むこれからの時代、家づくりは再び「夏を旨とすべし」へ。
日射遮蔽・通風・断熱、この3つをどう設計に落とし込むかが、長く快適に暮らせる家のカギになります。
ピースホームでは香川の気候に合わせて、家族が夏も冬も心地よく過ごせる住まいを提案しています。