本物のもみの木と、よく似た“トウヒ”のこと — 2025年の今でも続く誤認と、選ぶ側が知っておくべき基礎知識

🌲 はじめに

河野です。
先日、お客様との打ち合わせの中で「ネットで“もみの木フローリング”を見つけた」という話題が出ました。
確認してみると、その多くは “もみの木(モミ属)ではなく、トウヒ(トウヒ属)” でした。

これはもう10年以上前から繰り返し注意喚起している話ですが、
2025年になった今でも、誤認は完全にはなくなっていません。

理由は簡単で、
「名前が似ている」「見た目も似ている」「価格が安い」
この三つが重なってしまうからです。

でも、
性能や性質は、まったく違う木。
ここを知っているかどうかで、家の質は大きく変わります。


🌿 「もみの木(モミ属)」と「トウヒ(トウヒ属)」は別物

まず、基本情報として樹種の違いがあります。

■ もみの木(マツ科モミ属)

・空気清浄作用につながるフィトンチッドが豊富
・調湿性が高い
・水に強く、濡れてもシミになりにくい
・素足で触れたときのやわらかい質感
こうした特徴には科学的な根拠があります。

■ トウヒ(マツ科トウヒ属)

・フィトンチッドの量が少ない
・水に弱く、無塗装では特にシミが残りやすい
・反りが起こりやすく安定性が低い
・肌触りが硬く、もみの木の“心地よさ”とは別物

つまり、
機能面で「もみの木に期待されているもの」は、トウヒにはほぼ存在しない。


⚠️ なぜトウヒが“もみの木”として売られるのか

この問題は、悪意ではなく構造的な誤解によって続いています。

■ ① 見た目がとても似ている

柾目調の板だけを写真で見れば、一般の方はもちろん、
住宅会社でさえ区別できないことがあります。

■ ② トウヒは安く仕入れられる

もみの木は流通量が限られているため価格が下がりにくいのに対し、
トウヒは安価で大量に手に入る。
だから商品として並べると「似ているのに安い」という印象になってしまう。

■ ③ モミ属・トウヒ属の区別を知らない会社もある

実際の現場では、
・針葉樹だから同じと思い込んでいる
・仕入れ先の表記をそのまま信じてしまう
・無塗装で使える木=もみの木、と短絡的に判断している
といった背景が重なり、
住宅会社自身が“本物のもみ”だと思ってトウヒを仕入れてしまうケース
も存在します。

悪意ではなく、
「似ている見た目」と「価格差」が誤認を生んでいる
というのが現実です。


🏡 ピースホームが“本物”にこだわる理由

ピースホームの家づくりは、
「空気の質」「肌触り」「調湿」「においの残りにくさ」
といった日常の体験価値を重視しています。

だからこそ、もみの木を使う際は
・柾目中心で安定した材料を使う
・無塗装で本来の機能を損なわない
・塗膜や合板を極力避ける
・空気の循環と調湿が最大限発揮される設計にする
こうした方針を徹底しています。

もみの木の特性には、
空気清浄・消臭・調湿・抗菌など、
「生活を整える」目的の機能が多くあります。

これらは、
ただ“自然素材が好き”という感覚ではなく、
根拠のある住宅性能として選んでいます。


🔍 見分けるための簡単なポイント

■ ① 樹種表記を見る

momi(モミ属)か
spruce(トウヒ属)か。
日本語表記だけでは判別できない場合が多いです。

■ ② 極端に安価ではないか

もみの木は安く流通しない素材です。

■ ③ 無塗装前提の商品があるか

もみの木は塗装種別によっては本来の力を発揮できません。
“塗装前提の安価な商品”は、ほぼトウヒです。


🌲 河野からのメッセージ

素材の違いは、見た目の違いではなく、
暮らしの質そのものに直結する部分です。

似ている名前の商品を間違って選んでしまい、
「思っていた効果が出ない」
という人を、これ以上増やしたくありません。

もし疑問があれば、いつでも相談してください。
家づくりは“知って選ぶ”ことで、確実に後悔が減ります。

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