構造計算だけじゃ足りない?直下率と香川流の“ねじれに強い家づくり”

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こんにちは、ピースホームの河野です。
構造計算(許容応力度計算)してる=耐震は万全」という声、よく耳にします。もちろん大事な安心材料です。ただ、本当に地震に強い家に仕上げるには、もう一歩。今日はその鍵となる直下率と、設計段階での考え方をまとめておきます。


✅ 直下率って何?— “力の通り道”を揃える指標

  • 定義:2階の柱・耐力壁が、1階の柱・耐力壁の真上にどれだけ揃っているかの指標。

  • 意味:上下階で構造が素直にそろうほど、地震力がスムーズに分散し、部分的な過大負担やねじれが起きにくくなる。

👉 実際、香川県では平屋人気が非常に高いですが、これも「構造がシンプルで重心が低く、直下率を気にせず安心できる」という心理的な安心感が影響しているのかもしれません。


📊 直下率が高い vs. 低い

高い場合

揺れの力が建物全体へ均等に回る → 局所破壊が起きにくい → 倒壊リスク低減

低い場合

上下階のズレで“力の偏り”が発生 → 1階に負担集中、ねじれ振動や想定外の変形が起きやすい。
補強材や金物を増やす必要があり、コスト増や設計制約につながることも。

※過去の大地震では「1階だけ潰れる」ケースの多くが、この直下率不足でした。


🗺️ 間取りと直下率の関係(実務のコツ)

  • 2階の計画が1階を決める
     2階に個室が多い=柱・壁が増える → 1階も同位置で受ける必要あり。
     一方で、2階に大空間・吹き抜けを設ける場合は補強が必須

  • LDKは“広さ×構造”のバランス
     1階に大空間LDKを設けたいなら、梁補強(耐風梁設置)や構造柱をうまく配置して直下率を確保。
     2階LDKの場合も荷重の受け方を初期設計から検討することが大切です。

  • 水回り・収納は直下率の味方
     上下同じ位置に配置すれば、構造的にも安定し、配管・コスト面でも有利。


🧩 直下率を上げる具体策

  • 上下で柱・耐力壁の位置を合わせる

  • 上下で部屋サイズや形をそろえる

  • 吹き抜けは梁の“連携”ではなく、耐風梁設置で補強するのが正解

  • 重い部屋(書庫など)の下は必ず支える構造に

  • 場合によっては2階柱をあえて抜き、梁への負担を低減させる設計


📏 直下率の基準値(目安)

  • 柱:60%以上

  • 耐力壁:50%以上

家の形や階数で変動しますが、設計初期から意識しておくと後から無理な補強費用が不要になります。


🏠 ピースホームの実装例

  • 全棟:許容応力度計算+耐震等級3を確保

  • **直下率に配慮した“素直なプラン”**を最優先

  • 総二階は直下率が取りやすく耐震的に有利

  • 平屋は直下率が影響しないので更に有利
  • 吹き抜けや大空間は耐風梁補強で強度確保

数値でOK」に加えて「揺れ方まで想定してOK」を。
これがピースホームの“香川仕様の耐震設計”です。


🧾 まとめ(辞書ページ的おさらい)

  • 構造計算=必要条件。直下率=より安全に暮らすための条件。

  • 平屋人気も“直下率を意識しなくても安心”という構造的背景がある。

  • 2階の柱は必ずしも揃えるだけでなく、抜いて梁で受ける設計手法もある。

  • 吹き抜けは「梁の連携」ではなく、耐風梁設置で補強する考え方が正しい。

  • 実務の工夫+直下率意識で、デザインと耐震性の両立が可能。


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