「もみの木と暮らす家」をご提案しているピースホームの河野です。
今日は、もみの木フローリングの特徴的な仕上げである“浮造り加工”についてお話しします。
浮造り加工とは?
浮造り(うづくり)は、木目の**柔らかい部分(早材)**をそっと削り落として、**硬い部分(晩材)**をほんの少し浮き立たせる仕上げのことです。
そうすると表面に細かな凹凸ができて、木目が立体的に見えるようになります。
「ただのデザインでしょ?」と思われがちですが、実は暮らしやすさにつながる意味のある加工なんです。
歴史的背景:なぜ日本の家で使われてきたのか
浮造りは、昔から和室の柱や床板、式台や縁側などに使われてきた仕上げです。
理由はシンプルで、木の表情を美しく見せつつ、耐久性も高められるから。
地域ごとに道具や方法は少しずつ違っていても、「柔らかい部分だけを削り、硬い年輪を残す」という考え方は同じ。
その狙いは大きく分けて3つあります。
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意匠性:木目がくっきりと浮かび上がり、美しい表情が出る。
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実用性:柔らかい部分を落とすことで傷や摩耗が目立ちにくくなる。
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安全性:表面にわずかな凹凸があることで足にグリップが生まれ、滑りにくくなる。
つまり、昔の大工さんたちも「見た目」と「暮らしやすさ」の両方を考えて、この仕上げを選んできたんですね。
針葉樹×浮造りが相性いい理由
もみや杉といった針葉樹はやわらかくて、どうしても凹み傷が入りやすいのが特徴です。
でも、浮造りで硬い部分(晩材)を残すとどうなるか?
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凹み・擦り傷が目立ちにくい
フラット仕上げだと一点の傷が光で強調されがちですが、浮造りなら地肌の凹凸に馴染んでほとんど気にならなくなります。 -
踏み心地と歩きやすさが増す
細かな凹凸が足裏に軽いグリップをつくり、ペタつきやツルツル感を抑えます。素足で歩くと安定感が出て「歩きやすい」と感じるはずです。 -
季節に合わせた体感が良い
接触面積が減るので、夏はサラッと快適に。冬は凹凸の間にできる小さな空気層がクッションになり、“ヒヤッ”とする冷たさを和らげてくれます。
要は、針葉樹の長所(温かみ・軽快さ)を引き出し、短所(凹みやすさ)を目立たなくする工夫が浮造りなんです。
フラット仕上げとの軽い比較
一般的なフローリングは表面がツルっと平ら。浮造りとは次のような違いがあります。
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触感
フラット:つるりと均一
浮造り:サラッとした立体感 -
滑りにくさ
フラット:汗ばむとペタついて滑りやすい
浮造り:細かな凹凸が自然なグリップを生む -
凹み・擦り傷の見え方
フラット:一点の傷が目立ちやすい
浮造り:凹凸の表情に馴染んで目立ちにくい -
お手入れ
フラット:から拭きでも整いやすい
浮造り:ブラシ付き掃除機や目地に沿った拭き取りが効果的(汚れは早めに拭くのがベター)
もみの木で浮造りを採用する理由
では、なぜもみの木フローリングに浮造りを採用しているのか。理由は大きく4つです。
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素足前提の床に“安心の歩きやすさ”を足すため
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生活小傷を“味”に変えて、長く付き合える床にするため
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夏も冬も体感差をやわらげ、年中ちょうどいい触感にするため
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ささくれリスクを抑える加工ディテールと組み合わせやすいから
単なる「意匠」ではなく、「住む人にとっての快適性」を一番に考えているんです。
仕上げについて
もみの木フローリングは無塗装/オイル塗装どちらも選べます。
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無塗装:調湿や木の質感をダイレクトに味わえる。
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オイル塗装:ささくれを抑えつつ、汚れが拭き取りやすくなる。
日常のお手入れは乾拭き+ブラシ付き掃除機で十分。
水拭きは軽めに、汚れはなるべく早めに拭き取ってあげると、長く快適に保てます。
まとめ
浮造り加工は「デザインのための凹凸」ではなく、快適に暮らすための工夫なんです。
素足で歩いたときのサラサラ感、小傷が気にならない安心感、夏も冬も“ちょうどいい”触感。
これらを支えているのが、実はこの伝統的な仕上げ。
弊社ショールームでは、実際に浮造り仕上げのもみの木フローリングを体感いただけます。
ぜひ素足で歩いて、この違いを感じてみてください。